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パテントトロール


2012年の1月に、パテントトロールと言われるUniloc社が、「浮動小数点の数をコンピュータ処理する過程でオーバーフロー(演算結果が容量を超えること)およびアンダーフロー(演算結果がコンピュータで表現できる最小値よりも小さくなること)を扱う方法及び装置」という特許をJames Brakefield氏から購入しました。この特許は1995年に出願され1999年に特許になっていました。2012年同社は、テキサス東部連邦地方裁判所において、この特許権に基づき、Rackspace社がリナックスのOSのサーバーを販売していた行為を特許権侵害として訴えました。当該サーバー上で不動小数点のコンピュータ処理を行っているリナックス・カーネルが当該特許権の使用および販売に当たると主張したのです。しかし裁判官は、当該特許は比較的単純な数学演算を記述したものに過ぎず無効と判示し、請求を棄却しました。数学の演算はは常に特許性を否定されるわけではありませんが、裁判官は新規性がないと判断したのです。なぜならクレームされた発明は、数学的なコンピュータ操作の前ではなく以前に数を切り上げもしくは切り下げる判断だったからです。同社の敗訴は明白であったという点で注目すべきです。それはトライアルに入る目に決着がつきました。同社は陪審員による審理を求めましたが裁判官は被告の請求棄却を求める申立てを認めました。また、この裁判所は、特許権者に有利といわれる悪名高い裁判所だったからです。裁判官のLeonard Davisは主任裁判官ですが、最近、Face Time社に関する訴訟でアップル社に対して3億6820万ドルもの支払いを命じる判決を下していましたし、彼の息子は他のパテントトロール会社Lodsysの弁護士で東部テキサス連邦地裁の訴訟を担当していたからです。Uniloc社がソフトベンダーに対する訴訟を行ってきた歴史は長く、2009年にはマイクロソフト社に対して3億8800万ドルの勝訴判決を得て、その訴訟は最終的に昨年和解で決着しましたが和解金額は公表されていません。少なくとも先週の時点で係属中の訴訟は12件あります。


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