中国では「循環経済」という言葉をよく耳にするようになりました。日本で2001年に循環型社会形成推進基本法が成立し、そこでは「製品の生産者がその廃棄・リサイクルの段階まで一定の財政的あるいは物理的責任を負う」という拡大生産者責任の考え方が基本になっています。中国では2003年ころより資源の節約が唱えられるようになり、2005年に国務院が発表した「循環型経済の発展加速に関する若干の意見」を読むと次の4点が挙げられています。
@ 資源節約
A クリーナープロダクションの推進
B 廃棄物の資源化および再生資源の回収・利用
C 環境産業の発展
ここでも資源節約がトップに掲げられていますが、近年の資源需要の増大が背景となっているようです。
ところで中国のエネルギーの消費ですが、石炭が大きな割合を占め、エネルギー消費量の増大を石炭でまかなっています。火力発電は石炭が主力です。石炭はそれほど輸入が伸びていないので国内で供給がなされています。石油の場合、消費の伸びは輸入量の増大でまかなわれています。
次に循環を企業内レベル、産業(複数の企業)間レベル、広く社会レベルで見ていくと、まず企業内レベルでは鞍山や宝山などの製鋼所では鉄石炭の廃棄物利用、石炭ガスの回収、水の循環利用などが行われています。産業間レベルでは、国家生態工業モデル園区を24箇所(2007年5月末時点)指定され、工業園区内で複数の企業間で廃棄物や水を他の企業に供給し、使用させるという循環が行われています。天津経済技術開発区ではトヨタなどの自動車産業から排出された鉄くずの再利用が試みられています。
これらはエネルギーの節約よりは資源の節約・再利用に重点が置かれているといえます。
本年夏に「循環経済法」の草案が完成し審議される予定になっていますが、そこで政府によるルール作り、費用負担の明確化が行われるでしょう。費用負担とはたとえば、企業間で廃棄物を有償で(費用を支払って)引き取らせる仕組みを作ることで、社会全体として資源節約が図れるようになるのです。
中国ニュース一覧へ戻る |