尾近法律事務所 本文へジャンプ
中国ニュース

3 独占禁止法


  • 中国独占禁止法と知的財産権との関係

知的財産権の行使の場面で、独占禁止法が適用される場合がありうることが、以下の通知で明らかにされた。

「中華人民共和国独占禁止法」を真剣に学び、貫徹することに関する最高人民法院通知(2008年7月28日)
 各省、自治区、直轄市高級人民法院、解放軍軍事法院、新疆ウイグル族自治区高級人民法院生産建設兵団分院あて
 「中華人民共和国独占禁止法」(以下、独禁法と略する)は第十回全国人民代表大会常務委員会第29回会議により2007年8月30日に可決され、2008年8月1日に施行する。独禁法を正確に適用し、独禁法関係事件を正確に審理できるため、現在独禁法の学習と貫徹の関係に関し、以下のように通知する。
一 独禁法実施の重大意義を十分に認識すること
 独禁法は独占行為を制止し、市場競争を保護し、市場秩序を維持する基本的な法律であり、市場構造を完備させ、経済安全の保障、市場の資源配置の基礎的な作用を確保する重要な法律である。独禁法は経営者と消費者の権利利益を保護し、技術革新、進歩を促進し、企業の競争力を高め、国民経済の健康的、継続的、協和的な発展を保障するのに、極めて重要役目を果たす。各級の人民法院は、独禁法を真面目に勉強し、それを貫徹しなければならない。独禁法の立法趣旨を正確に把握し、裁判の機能を十分に発揮し、独占行為を制止し、経営者と消費者の合法的な権利利益を保護し、市場の公平的な競争秩序を維持する。
二 各種類の独占禁止案件を法によりきちんと審理する
 独禁法第50条によると、経営者は独占行為を行い、他人に損失をもたらす場合は、法により民事責任を負わなければならない。当事者は、独占行為により民事訴訟を提起する場合は、民事訴訟法第108条と独禁法の受理条件に満たしていれば、人民法院はそれを法により受理し、法により審理しなければならない。独禁法は知的財産権濫用行為の制止および知的財産権の保護と緊密に関係し、また反不当競争法とも同じ系列の競争法分野に属する。今年4月から実施する「最高人民法院民事案件名称規定」は、独占禁止紛争と各種類の不当競争紛争をまとめて規定し、統一的に知的財産紛争の範囲に入れてある。それによると、各級人民法院知的財産権案件の審理を担当する法廷は、法により裁判の権能を果たし、知的財産権濫用にかかわる反独占行為民事案件および他の各種類の反独占行為民事案件をきちんと審理しなければならない。
 独占禁止法の執行機構は、独禁法により行った各種類の具体的な行政行為に対し、公民、法人および他の組織がそれに不服の行政訴訟を提起する場合は、行政訴訟法と独禁法第53条によって、行政再議を行う必要があるかどうかを判断する。人民法院に受理されるべき案件に対し、行政訴訟法の訴訟提起の条件を満たしていれば、人民法院は法により受理し、審理を行わなければならない。
三 調査、研究を強化し、独占禁止の裁判経験を真面目に総括する
 独占禁止案件は非常に難しくて複雑であり、経済と法律問題が交錯し、専門性が非常に強く、企業および業界に重大な影響を与える。またある案件は国家の経済安全にもかかわる。独占禁止のある規定は原則的、抽象的であり、人民法院の具体的な執行条項も比較的に簡単であるため、独占禁止案件の裁判に際し多くの新しい状況、新しい問題に直面するに違いない。各級の人民法院は、そのような事態が起きる前に、早く対応を考え、調査研究を行い、裁判経験を総括しなければならない。とくに、案件の管轄、原告の資格、被告の適格、独占行為の認定、民事責任の負担および独占禁止の具体的な行政行為の合法性基準などの問題に対し、調査研究を強化しなければならない。独占禁止法の執行の際直面する新たな状況、新たな問題および調査研究の成果に対し、遅延なく最高人民法院に報告すること。重大な独占禁止案件に対し、重大案件の各級ごとに次々と報告する制度を真面目に執行しなければならない。

                                            中国ニュース一覧へ戻る




Copyright(C)2010,Ochika Law Office. All Rights Reserved.