(はじめに)
本報告書の目的は、主に大学の理事など学内行政に携わる方および産官学連携や国際連携の業務に携わる職員の参考になることを意図し、大学と中国の機関が共同研究を行う場合の留意点につき検討したものである。大学は私立大学および国立大学法人、公立大学法人などの独立行政法人を対象とし、中国の機関については、中華人民共和国の大学、研究所を対象としている。共同研究は理工学・医学薬学系の共同研究を対象としている。
検討を加えたポイントは、ひとつは日本にとっての安全保障貿易管理の視点であり、もうひとつは、中国からみた対外貿易管理の視点である。中国の研究機関が日本の研究機関に設備を開放して研究者を受け入れるという方針が表明されており、共同研究の場所が日本だけでなく中国であることも考えられる。また中国も近年、国際的な安全保障貿易管理体制に積極的にコミットし、不拡散政策を表明している。
一方、対外貿易管理には従来からの技術輸出入管理条例と契約法の論点がある。またこれらの検討に関連すると思われる限度で、中国の特許法等についても紹介した。特に中国の特許法は第三次改正法が施行され、そこでは中国からの技術流出防止のために重要な制度が創設されている。日本の安全保障貿易管理については、平成21年に外国為替及び外国貿易法(以下、本報告書では「外為法」という)につき重要な改正が行われた。日中間の共同研究契約には、これらの多岐にわたる法制度が関わってきている。
叙述の順序としては、まず日本の安全保障貿易管理制度につき説明し、次に共同研究契約等に関する注意事項を述べて、その理解を深めるためその他の事項の説明を行なうという順序にした。
▲中国ニュース一覧へ戻る
|