1 契約法と技術輸出入管理条例 契約法第353条 技術提供者は、技術譲受人が第三者から権利侵害を主張された場合には、賠償責任があるのを原則とするが、当事者間で特約を結んで免責とすることができる。 技術輸出入管理条例では、単に技術譲渡人が責任を負うと規定されており、当事者間の特約による免責の可能性を規定していない(24条3項)。 なお契約法第353条は「技術輸出入契約または特許、特許出願契約につき法律、行政法規に別段の規定がある場合、その規定に従う。」と規定しているので条例(国務院の行政法規である)が優先すると考えられる。 地方の対外経済貿易部門では、条例が優先し、当事者間の特約でライセンサー免責とすることができない、もしくはそのような契約を認めるべきでないとする意見が強い。→珠海市外経貿局の「技術輸入契約管理指導意見」
2 ライセンサーの保証責任に関する注意 「ライセンシーが契約の規定に従ってライセンサー提供の技術を使用し、約定した範囲を超えて技術を使用していないこと」を条件とする (中華人民共和国技術輸出入管理条例問答(国務院法制弁公室))。 ライセンサーによる技術の提供と第三者の権利の侵害との間に因果関係があることが必要。 ライセンス契約の中でライセンシーが当該技術を実施できる地理的範囲を限定しておき、その範囲外でライセンシーが実施品を製造販売した場合にはもはや当該地域での第三者からのクレームにつきライセンサーは責任を負わない。 賠償責任の範囲を限定したり、上限を定めることは一応可能と思われる。 他の保証問題 6.1ライセンサーが技術の適法な所有者であり、譲渡や使用許諾をする権利を有すること(管理条例24条1項)。 技術的目標達成に関する責任 管理条例25条 提供した技術が完全で誤りなく有効であり、約定された技術目標を達成することができることを保証しなければならない。 契約法第349条 同旨
(対策)ライセンサーとしては、技術目標達成のための条件を詳細に規定しておき、技術目標不達成の原因がもっぱらライセンシー側の拙劣さ、レベルの低さ、不熱心さにあることを証明できるようにする。
提供した技術が製造過程全体の技術ではなく部分的プロセスの技術である場合にそこで製造された製品の品質まで保証するものではない。また製造過程全体に関わる技術であっても、製品の品質を左右する他の要素があり、そこに品質が大きく依存して左右されるのであれば、製品の品質はライセンサーの保証義務の問題ではない。しかしトラブルの原因になりやすく、ライセンシー側は保証条項をたてに主張してくるので要注意である。
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