1 校弁企業とは「中国版大学発ベンチャー」の意味で用いられることが多いが、法律上の用語である。何らかの形で大学の管理下に置かれている企業で、資金が大学から出ており、大学が株主となっているのが多い。教員や従業員も出資している。
校弁企業については、以下の問題点が指摘されてきた。
@ 当該企業の経営上のリスクを大学が負ってしまい、その結果、大学の信用やブランドも低下させるおそれ
A 企業経営の能力に欠ける大学が経営に介入することの問題
B 資産の帰属が大学なのか、校弁企業なのか不明確
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校弁企業改革
@ 2001年11月、「北京大学および清華大学の輩出企業管理体制試験的規範化に関する指導意見」が国務院から出される。
国務院体制改革弁公室と国家教育部が主体となり、上記2大学で試験的に実施。
意識されている問題点
→ 大学輩出企業の財産権の帰属が不明瞭
大学が企業運営のリスクを直接負うこと
統一された管理体制がない
A 北京大学 上記指導意見を受けて、2002年、北大資産管理公司を設立
資産整理と照合作業が終了後、大学が所有するすべての経営性国有資産が資産管理会社に移され大学自身は企業等に対して直接投資ができなくなる予定であった。
B 清華大学
もっとも校弁企業改革に成功しつつある例とされる。
清華大学―――清華控股有限公司――― 33の企業の51%以上の株式を保有する(2006年度)
このうち重点企業として同方股?有限公司、紫光股?有限公司、科威国際技術転移有限公司など14企業がある。
6社が中国A株上場
(中国本土企業で国内投資家のみ取引可)
清華控股有限公司 2003年9月、設立登記。登録資本金は20億人民元。
国務院の批准を経て清華大学が出資設立した国有独資有限責任公司。
2006年総資産280億元、経営総収入213億元。
清華大学における海外提携
企業合作委員会に他国籍企業などが会員となり、共同開発・委託開発を行っている。
研究経費の投資を受け入れている。
清華大学知的財産権管理弁公室
技術移転センターを下部に持ち、技術移転等を行う。
清華控股有限公司を通じて、その参加企業に知的財産権を投資(現物出資)する。
サイエンスパーク内の企業に技術移転
地方政府の出資の設立企業に技術移転
3 校弁企業からTLOや大学向け技術パーク(大学科学園)などの技術移転システムの構築を行っている。
大学教員が大学と企業を兼任することの禁止
大学名の使用制限・禁止