1 「上海市発明創造権利の帰属と職務報酬実施弁法」が2007年4月29日より施行される。上海市人代は中華人民共和国特許法、中華人民共和国特許法実施細則にもとづき本法を制定した。これは上海市人民政府の「上海市中長期の科学技術発展計画綱要(2006年―2020年)の若干のセットとなる政策(配套政策)」の実施に関連して制定された。
2 まず「発明創造権」とは特許を受ける権利と特許権とを含む権利であり、職務報酬とは職務発明の発明者と外観設計(意匠)の設計者に与えられるものである。上海市内の発明創造権の帰属と職務報酬の支払などにつき本法が適用される(第2条)。
3 単位の任務の執行により、または単位の物質的技術条件を主に利用して完成した発明は職務発明とみなされる。職務発明は単位に帰属する。
単位の物質的技術条件を利用して完成した発明は、単位と発明者、設計者との間で発明創造権の帰属に関する合意があればその合意に従う。
政府が資金援助した科学研究プロジェクトで形成された発明創造権は、他に合意または法律がある場合を除き、法規に異なる規定がある場合を除き、単位所有となることとし、発明者または設計者は法に基づき発明創造権の署名権と栄誉権を享有する(第3条)。
4 単位の物質的技術条件を利用して完成した発明は、当該発明完成以前にまたは完成後に単位と発明者または設計者とで作成した書面による契約で、その権利を発明者もしくは設計者の所有と定めたり、あるいは単位と発明者もしくは設計者との共有と定めたりできる(第4条)。その場合、契約書面中に発明者または設計者は単位に対して補償を行なうか否か、その補償金額と方法を定めなければならない(第4条)。
5 同等の条件の下であれば、発明者または設計者は職務発明の発明創造権を優先的に譲受けることができる。単位は職務発明を譲渡もしくは無償で放棄するときには、当該発明創造の発明者または設計者に書面で優先権のあることを知らせなければならない。発明者または設計者が告知された後に明確な回答を与えなければならず、譲受を望む場合には単位に書面で通知しなければならない。双方が合意した期限を経過しても発明者または設計者が回答しない場合には単位は譲受を放棄したものとみなすことができる。
6 職務発明の報酬額と支払方法について詳細な規定が置かれている(第6条)。
まず単位は発明者、設計者と書面契約を作成しなければならない。具体的内容は以下の通りである。
@
単位が自ら職務発明を実施している場合には、当該発明または実用新案の実施による税引後利益のうち5%より低くない額、また、意匠の実施による税引後利益の1%より低くない額を報酬として発明者または設計者に支払うこと
A
単位が職務発明を譲渡、第三者へ実施許諾した場合には当該職務発明の譲渡対価、ライセンスロイヤルティの税引後利益のうち30%より低くない額、ただしその中で大学、高等学校、専門学校、科学研究所の場合は50%より低くない額を報酬として発明者または設計者に支払うこと
B
株式会社の場合には株式で報酬を支払うこともできる。
7 単位が自ら職務発明を実施している場合に報酬の決定の際に以下の要素を参考とすることができる(第7条)。
職務発明の製品または製造方法の全体の税引後利益を基礎とし、以下の要素を参考とする
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職務発明の、全体の製品または製造方法中の技術貢献割合
A 契約または法律法規の規定において報酬を割り出す割合
B
発明者または設計者が発明に個人として貢献した割合
8 譲渡、ライセンスの場合の職務発明報酬の決定の際に以下の要素を参考とすることができる(第8条)。
職務発明の発明プロジェクトの総譲渡対価またはライセンスロイヤルティの税引後利益を基礎とし、以下の要素を参考とする。
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職務発明の、全体の譲渡またはライセンスプロジェクト中の技術貢献割合
A 約または法律法規の規定において報酬を割り出す割合
B
発明者または設計者が発明に個人として貢献した割合
9 無償または低価での譲渡、ライセンスの場合の報酬計算については当該発明の譲渡、ライセンスの市場価格の税引後利益を参照し、本法の規定に照らして支払うこととされ、その市場価格は単位と発明者、設計者との協議で決定するか、評価を委託して確定することとされている(第9条)。
10 その他侵害訴訟で賠償金等を得た場合には職務発明の収益とみなす(第10条)とか、報酬の支払時期については契約で定まっていない場合、契約上不明な場合には、@自己実施の場合には本年度の報酬を翌年度6月30日までに支払い完了するように毎年支払い、A譲渡またはライセンスの場合には譲渡対価またはライセンスロイヤルティが支払われた後3ヶ月以内に支払うこととされている(第11条)。
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