1 試用期間の長さ
試用期間については従来、労働法では次の規定のみであった。
労働法第21条 労働契約には試用期間を定めることができる。試用期間は最長6ヶ月を超えてはならない。
労働契約法第2次草案では、次の規定が提案されている。
第20条 労働契約期限が1年未満の場合、試用期間は1ヶ月をこえてはならない。労働契約期限が1年以上3年以下の場合、試用期間は2ヶ月をこえてはならない。3年以上の固定期限のある労働契約および固定期限のない労働契約の場合、試用期間は6ヶ月をこえてはならない。
試用期間の長さが、労働契約期間の長さに応じて制限された。
ただし、地方性法規においては以前から、試用期間の長さに同趣旨の制約が加えられていた。すなわち上海市労働契約条例では次のとおりであった。
条例第13条 労働契約期間が6ヶ月未満では、試用期間の定め不可。
6ヶ月以上1年未満の場合、試用期間は1ヶ月をこえてはならない。
1年以上3年未満の場合、試用期間は3ヶ月をこえてはならない。
満3年の場合、試用期間は3年をこえてはならない。
2 試用期間つき契約の回数
さらに一人の労働者につき、試用期間つきの労働契約の回数が制限された。
第20条第2項 同一使用者が同一労働者と試用期間を約定するのは一回限りとする。
この規定は解釈に幅がある結果となるが、最も労働者に有利な解釈は次のとおりとなると思われる。
「同一使用者」には、広く、親子関係にある会社、傘型企業傘下の兄弟関係の会社を含み、親子関係という場合には外国会社も含む。職務内容が大きく異なる場合にも2回目も雇用において試用期間を設けることは許されない。労働者が前回の雇用後、健康面、家庭の事情などの面で変化があり労務の提供にその事情変化がある場合にも、2回目の雇用で試用期間を設けてはならない。
この中で職務変更の場合については再度の労働契約の場合にも試用期間を設定できるとの行政解釈があった(労働法に関する若干の条文の説明(労弁発1994年289号)第21条)。
この解釈が労働契約法成立後も引き続き有効とされるかは不明である。
ただし使用者が試用期間つきとする理由が合理的であれば、試用期間をもうけることが許されるのではないか。
3 試用期間のみの約定
従来の労働法には規定はなかったが、上海市労働契約条例には次の規定があった。
条例第13条第2項 労働契約当事者が試用期間のみを定める場合、試用期間は成立せず、当該期間がすなわち労働契約期間となる。
第2次草案はこの条例規定と同趣旨の規定を置いた。
第20条第3項 労働契約で試用期間のみを約定しているか、または労働契約の期間が試用期間と同じ場合は、試用期間は成立せず、当該期間を労働契約の期間とする。
中国ニュース一覧へ戻る |