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3 独占禁止法


  • 中国反独占法(独占禁止法)翻訳(1)

中華人民共和国反独占法

(中華人民共和国主席令第68 号)

「中華人民共和国反独占法」は中華人民共和国第10 期全国人民代表大会常務委員会第29 回会議で可決されたので、ここに公布し、2008 8 1 日から施行する。

中華人民共和国主席 胡錦涛

2007 8 30

目次

第1章 総則

第2章 独占の協議

第3章 市場支配的地位の濫用

第4章 事業者の集中

第5章 行政権力の濫用による競争の排除、制限

第6章 独占の嫌疑ある行為の調査

第7章 法律上の責任

第8章 付則

第1章 総則

第1条 独占行為の予防と阻止、市場の公平競争の保護、経済運営効率の向上、消費者利益と社会公共利益の維持、社会主義市場経済の健全発展の促進のための本法を制定する。

第2条 中華人民共和国国内の経済活動中の独占行為に、本法を適用する。

中華人民共和国国外での独占行為で、国内の市場競争に排除、制限の影響を及ぼすものに、本法を適用する。

第3条 本法に規定する独占行為には以下のものを含む。

(1)事業者が独占の協議を達成すること

(2)事業者が市場支配的地位を濫用すること

(3)競争の排除、制限効果を有し、あるいはその可能性がある事業者集中

第4条 国家は社会主義市場経済に適応した競争ルールを制定・実施し、マク

ロコントロールを完全にし、統一され、開放され、競争のある、秩序ある市場システムを健全にする。

第5条 事業者は公平な競争、自由意思による連合を通じ、法による集中を実行し、経営規模を拡大し、市場競争力を向上することができる。

第6条 市場の支配的地位にある事業者は、市場支配的地位を濫用して、競争を排除し、制限してはならない。

第7条 国有経済が支配的地位を占め、国民経済の命脈及び国家安全に関する業種並びに法により専管専売がなされている業種においては、国は事業者の合法的経営活動に保護を与え、かつ事業者の経営行為及びその商品・サービスの価格につき、法によ監督・管理とコントロールを行い、消費者利益を維持し、技術進歩を促進する。

2  前項に規定する業種の事業者は、法により経営し、誠実に信用を守り、きびしく自律し、社会公衆の監督を受け、その支配的地位又は専管専売の地位を利用して消費者利益に損害を与えてはならない。

第8条  行政機関及び法律、法規が公共事務を管理する機能を授権した組織は、行政権力を濫用し、競争を排除、制限してはならない。

第9条 国務院は反独占委員会を設立し、反独占の作業の組織の責務を負い、反独占作業を調整し、指導をおこない、以下の職責を履行する。

(1)競争政策に関する研究、立案。

(2)市場の全体的な競争状況の調査・評価を組織し、評価報告を発布する

(3)反独占指南の策定発布。

(4)反独占行政・法執行作業の調整。

(5)国務院が規定するその他の職責。

2  国務院反独占委員会の組織と作業規則は国務院が定める。

10 国務院が定める、反独占の法執行の職責機関(以下「国務院反独占執行機関」という)は、本法の規定により、反独占の執行作業の責任を負う。

2  国務院の反独占執行機関は、作業の必要性により、省・自治区・直轄市人民政府の相応機関に授権し、本法の規定により関係の反独占執行作業の責めを負わせることができる。

11 業界の協会は、業界の自律を強化し、当該業界の事業者の法による競争、市場の競争秩序の維持を指導しなければならない。

12 本法にいう事業者とは、商品生産、経営に従事し、またはサービスを提供する自然人、法人その他の組織をいう。

2  本法にいう関連市場とは、事業者が一定の期間内に、特定の商品又はサービス(以下、「商品」という)について競争を行う商品の範囲及び地域範囲をいう。

第2章 独占の協議

13 競争関係にある事業者の以下の独占協議を禁止する。

(1)商品価格の固定または変更。

(2)商品の生産数量または販売数量の制限。

(3)販売市場または原材料購入市場の分割。

(4)新技術、新設備の購入の制限、または新技術、新製品の開発の制限。

(5)共同取引拒絶。

(6)国務院の反独占執行機関が認めたその他の独占協議

本法でいう独占協議とは、競争を排除、制限する協議、決定またはその他の協同行為をいう。

14 事業者の、取引の相手方との以下に掲げる独占協議を禁止する。

(1)第三者への商品転売価格の固定。

(2)第三者への商品転売最低価格の限定。

(3)国務院の反独占執行機関が認めたその他の独占協議。

15 事業者が、協議が以下の各号のいずれかに該当することを、証明できる場合には、本法第13 条、第14 条の規定を適用しない。

(1)技術改良、新製品の研究・開発の目的。

(2)製品の品質向上、コストダウン、効率増進、製品規格・標準の統一、または専門的分業化の目的。

(3)中小事業者の経営効率向上、中小事業者の競争力増強の目的。

(4)エネルギーの節約、環境保護、災害救助等の社会公共的利益を実現する目的。

(5)経済不況を原因とする、販売量の深刻な減少または明らかな過剰生産を緩和する目的。

(6)対外貿易及び対外経済協力における正当利益を保障する目的。

(7)法律及び国務院が定めるその他の事情。

2 前項第1号から第5号の場合に属し、本法第13 条、第14 条の規定を適用しないためには、事業者はなお、その協議が著しく関連市場の競争制限とはならず、かつそれによる利益を消費者が分かち享受することができることを証明しなければならない。

16 業界協会は当該業界の事業者を組織して本章が禁止する独占行為に従事させてはならない。

第3章 市場支配的地位の濫用

17 市場の支配的地位にある事業者の、市場支配的地位を濫用する以下の行為をを禁止する。

(1)不公平な高価格による商品販売または不公平な低価格による商品購入

(2)正当理由のない原価割れ商品販売。

(3)正当理由のない、相手方との取引拒絶。

(4)正当理由のない、当該取引しかできないように、または指定事業者としか取引できないような取引先への限定。

(5)正当理由のない、抱合せ商品販売、または取引時のその他の不合理な取引条件の付加。

(6)正当理由のない、条件が同等の取引相手に対する、取引価格等の取引条件の差別待遇。

(7)国務院の反独占執行機関が認めた、市場支配的地位を濫用するその他の行為。

2  本法でいう市場支配的地位とは、関連市場内において商品価格、数量またはその他の取引条件をコントロールでき、または他の事業者の関連市場参入を阻止し、影響を与える能力を有する市場における地位をいう。

18 市場支配的地位を有する事業者を認定する場合には、以下に掲げる要因に基づかなければならない。

(1)関連市場における当外事業者のシェア、および関連市場の競争状況

(2)販売市場または原材料購入市場を当該事業者がコントロールする能力

(3)当該事業者の経済力と技術上の条件

(4)他の事業者が取引において当該事業者に依存する程度

(5)他の事業者が関連市場に参入する難易の程度

(6)当該事業者の市場支配的地位認定に関するその他の要素

19  以下の各号のいずれかに該当する場合には、事業者が市場支配的地位を具備していると推定することができる。

(1)一事業者の関連市場におけるシェアが2分の1まで到達。

(2)二事業者の関連市場におけるシェアの合計が3分の2まで到達。

(3)三事業者の関連市場におけるシェアの合計が4分の3まで到達。

2 前項第2号、第3号の規定に該当する場合に、シェア10 分の1未満の事業者が含まれている場合には、当該事業者が市場支配的地位を有すると推定すべきではない。

3 市場支配的地位にあると推定された事業者が、市場支配的地位を有しないことを証明する証拠がある場合には、市場支配的地位を有すると認定すべきではない。

第4章 事業者の集中

20 事業者の集中とは、次の以下に掲げる場合をいう。

(1)事業者の合併

(2)事業者が株式又は資産を取得する方法で他の事業者の支配権を取得すること。

(3)事業者が契約等の方法で他の事業者の支配権を取得し、または他の事業者に対して決定的影響を与えられるようになること。

21 事業者の集中が国務院の定める申告基準に達する場合には、事業者は事前に国務院の反独占執行機関に申告しなければならず、申告をしなければ集中行為を実施できない。

22 事業者の集中が以下のいずれかに該当する場合には、国務院の反独占執行機関に申告しないことができる。

(1)集中に参加する一事業者が、その他の各事業者の50%以上の議決権付株式または資産を保有していること。

(2)集中に参加する各事業者の50%以上の議決権付株式または資産が、集中に参加していない同一の事業者によって保有されていること。

23 事業者が国務院の反独占執行機関に集中を申告するときは、以下の各号に掲げる書類、資料を提出しなければならない。

(1)申告書

(2)集中が関連市場の競争状況に与える影響についての説明

(3)集中の協議書

(4)集中に参加する事業者の会計士事務所の監査済みの一会計年度の財務会計報告

(5)国務院の反独占執行機関が定めるその他の書類、資料

2  申告書には、集中に参加する事業者の名称、住所、経営範囲、集中実施予定日及び国務院の反独占執行機関が定めるその他の事項を記載しなければならない。

24 事業者が提出した書類、資料が不完全な場合には、国務院の反独占執行機関の規定する期間内に書類、資料を補充して提出しなければならない。事業者が期限を過ぎても書類、資料を補充しない場合には、申告なしとみなす。

25 国務院の反独占執行機関は、事業者から提出された、本法第23 条の規定に適合する書類、資料の受領日から30 日以内に、申告事業者の集中について初期審査を行い、追加審査を行うかどうかの決定をするとともに、書面で事業者に通知しなければならない。国務院の反独占執行機関が決定をするまでは、事業者は集中行為を実施できない。

2 国務院の反独占執行機関が追加審査を行わない旨の決定をし、または期限を過ぎても決定をしない場合には、事業者は集中を実施することができる。

26 国務院の反独占執行機関が追加審査の実施を決定した場合には、決定の日から90 日以内に審査を完了し、事業者の集中を禁止するかどうかの判断をするとともに、書面で事業者に通知しなければならない。事業者の集中を禁止する旨の決定をしたときには、理由を説明しなければならない。審査期間中は、事業者は集中行為を実施できない。

3 以下の各号のいずれかに該当する場合には、国務院の反独占執行機関は、書面で事業者に通知することにより、前項で定める審査期間を延長することができる。但し最長60 日を超えてはならない。

(1)事業者が審査期間の延長に同意した場合。

(2)事業者が提出した書類、資料が正確でなく、さらに確認する必要がある場合。

(3)事業者が申告した後、状況に重大な変化が生じた場合。

4 国務院の反独占執行機関が期限を過ぎても決定をしない場合には、事業者は集中行為を実施できる。

27 事業者の集中を審査する場合には、以下の要素を考慮しなければならない。

(1)集中に参加する事業者の関連市場におけるシェアと市場支配力

(2)関連市場の市場集中度

(3)事業者の集中が市場参入、技術進歩に与える影響

(4)事業者の集中が消費者及び他の事業者に与える影響

(5)事業者の集中が国民経済の発展に与える影響

(6)国務院の反独占執行機関が、当然考慮すべきと認めた、市場競争に影響を及ぼす他の要因

28 事業者の集中が、競争排除、制限の効果を有し、またはそのおそれがある場合には、国務院の反独占執行機関は事業者の集中を禁止する決定をしなければならない。ただし、集中が競争に与える有利な影響が不利な影響より明らかに大きいこと、または社会公共の利益に合致することを、事業者が証明できる場合には、国務院の反独占執行機関は、事業者の集中について禁止しない決定をすることができる。

29 禁止しない事業者の集中については、国務院の反独占執行機関は、その集中が競争に与える不利な影響を減じるための制限的条件を付加する決定ができる。

30 国務院の反独占執行機関が行う、事業者の集中を禁止する決定または事業者の集中に制限的条件を付加する決定は、すみやかに社会に公布しなければならない。

31 外資が国内企業を合併・買収し、またはその他の方法で事業者の集中に参加する場合に、国家安全に関する場合には、本法の規定により事業者集中の審査を行う以外に、国の関係規定に従って、国家安全の審査を行わなければならない。

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