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中国ニュース

2 知的財産問題


  • 福建省における「National」商標および松下電器産業の意匠権侵害事件

松下電器産業は、同社の有するパッケージ(包装箱)についての意匠権(外観専利)を、福建省福安市の中国企業(大成電機有限公司)が、侵害したとして福州市の人民法院に提訴していたが、最終的に被告は侵害を認める旨の和解が成立した。

(事案の概要)

2004年8月4日、原告は包装箱の意匠権を登録(専利番号200330102163)。

2007年3月20日、原告は福州の税関より、被告が輸出申告している揚水ポンプと紙箱が、原告がすでに税関に登録している登録商標権(G824377)を侵害している疑いがあるとの通知を受け取った。原告が調査したところ、被告の揚水ポンプのパッケージのデザインと原告の意匠権のデザインとが全く同一もしくは極めて類似していることを発見した。原告は専利権侵害で当該デザインのパッケージの製造販売の差止めと侵害品の即時廃棄処分および10万元の損害賠償などを求めて提訴した。また人民法院は被告が税関で差し押さえられている「National」と「Inter National」の標章を付した揚水ポンプとパッケージを差押さえ留置した。

(和解内容)被告は以下の事項を認める。

1 被告は原告が世界的に、および中国においても長期間「National」標章を用いて宣伝を行い、同標章はすでに、原告の独自の商標となっていて、被告は原告の授権なしに揚水ポンプなどの製品に「National」商標と同一または類似の商標(Inter Nationalも含む)を使用した行為は商標権侵害を構成するものであり被告は「National」商標に同一または類似した商標の製品を製造販売した。

2 原告は200330102163.3専利の権利者であり、授権なしに当該専利に類似したデザインをh使用する行為は専利権侵害となる。被告の揚水ポンプの包装は原告の専利権のデザインに類似している。

3 被告は「National」と「Inter National」の標章を付した揚水ポンプと類似製品および原告専利権のデザインに類似したパッケージを、製造、販売、経営、推奨、販売許諾その他いかなる方法による使用もしてはならない。福州市中級人民法院、原告代理人および被告の共同監督の下で、税関に差押さえられている揚水ポンプのパッケージ(パッケージ内の「Inter national」標章の付された製品説明書、宣伝資料を含む)を廃棄し、揚水ポンプから侵害の標章を除去する。在庫品には原告商標権または意匠権を侵害する製品はすでに存在しない。

4 被告は直接間接を問わず、いかなる場所においても、「National」と「Inter National」を含む、原告会社と同一または類似の商標を申請、使用、登録しない。

5 被告は自らただちに第135617,2024331および第G824377号商標を含む商標の取消し申請を取り下げ、今後も原告のいかなる商標の取消し申請も行わない。

6 人民法院が差押さえた製品の提訴以後の保管料を負担する。

7 本和解書が効力を生じた後7日以内に原告に対して2万元を支払う。

8 今後、再び、原告の知的財産権を侵害した場合には、被告は自ら原告に10万元をペナルティとして支払う。

                 2009年1月20日

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