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 雑記帳

産業競争力会議



産業競争力会議のメンバーが発表され、初会合が開かれた。企業の海外展開の後押しをするということで、建設重機メーカーのコマツ会長(坂根氏)、武田薬品の長谷川氏、東レ会長の榊原氏が入っている。モノづくりの現場で海外に収益を求めている企業の代表格だが、ここはあえてケチをつけたい。
 まず、この人たちは忙しすぎる。コマツは中国市場が冷え込みかけていて(これは尖閣問題の前から中国市場の縮小冷却が起きている)今後の業績は楽観できない。武田は海外企業を買収し続けているが、有力な収益源の薬品の特許権が切れて、ジェネティックに市場を奪われ、かといって欧米巨大製薬メーカーほど開発力があるわけでない。今年は武田の運命を分ける年なのだ。
 楽天の三木谷氏は社内の英語公用語化、海外展開の号令で有名だが、中国ではうまくいかず、海外での収益はまさにこれからの課題である。
 ローソンの新浪社長はやたらと経済番組(最近は政治討論番組にも出ている)に出ている人であり、ファミリーマートと並んで中国、東南アジア展開の雄だが、様々な経営課題が出ている。小売店舗というのは既存の小売店との軋轢が大きく、インドネシアでは反発が出ている。それで都市部に重点的に展開して、POSシステムや配送のノウハウを生かせるというのだが、それほど優越的な経営資源なのか?と思う。
 みずほフィナンシャルの佐藤氏だが、この人はみずほグループ全部を見なければならないように権限を集約化した頂点にいる人で、今年は多忙を極めるだろう。
 そこでコンサルタントや学者の先生ということになるが、やはり目を引くのが女性の秋山咲恵氏である、もとアーサーアンダーセン(現在はアクセンチュア)という国際的なコンサルタント会社の出身で英語も達者な方だが、この人の実績というのはよく知らない。政策提言ができる人なのだろうか疑問がある。
 となると、竹中平蔵氏ということになる。まずこの人、維新の会のブレーンであって、少し前まで自民党と争っていた野党の集票看板であった。
 そして、基本は規制緩和、構造改革派であるから、ややアベノミクスと毛色が違う。規制改革会議というのも別途作ることになったのは、竹中氏が「そうじゃないと引き受けないよ」と阿部首相に言った気がするのだ。
 光触媒の研究発明で有名な橋本東大教授は科学者として有名だが、国の政策提言まで関与するほどの政策通とは思えない。
 それで、結局「顔ぶれは派手だが、みんな忙しくて、官僚のつくるシナリオに乗っかり、竹中氏がそれに文句を言ったり引っ張ったりする会議」の図が予想される。
 最後に、非常にネガティブな評価を付け加えると、日本国内の雇用はほとんどが国内産業、とくに近年はサービス産業の雇用吸収力に頼っているが、国内産業の生産性を挙げつつ雇用を増やすというのが実はもっとも困難で国民生活に直結する課題なのだ。そこに関する人、強そうな人はいない。



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