合衆国の連邦最高裁で、著作権法のファーストセールドクトリンに関して、「合衆国外で製造された著作物に関しても合衆国著作権法109条(First-Sale Doctrine)が適用される」との判断が下されました。この原則は、著作物を購入した者は、それを再販売し、貸したとしても、著作権法違反とはならないという原則で、著作権の消尽ともいわれます。これまで、合衆国内で製造されたものについては当然適用されていましたが、合衆国外で製造された著作物についても適用があるか必ずしも明確ではありませんでした。この判決では、タイで製造された本をタイにおける安い価格で購入した者が合衆国内での販売価格よりも低価で再販売した者に対して著作権者が著作権法違反で訴えたのに対して、タイで購入された本に含まれた著作権はすでに消尽していると判断し、合衆国内での再販売は著作権法違反とならないと判断したものです。これは中古品販売業者、レンタルショップなどに有利な判断です。
もし、合衆国外での著作物にファーストセールドクトリンの適用がないとすると、著作権者は海外の製造コストの安い場所で著作物を製造することにより、合衆国内での販売価格をコントロールすることができることになって不当であるというのが、再販売業者側の意見でした。最高裁判決は結果的にこのような著作権者側の価格支配権を否定したことになり、海外からの廉価品の輸入による合衆国内での価格競争を是認したことになります。
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