ロンドンで、ある個人によってグーグルが訴えられた裁判の控訴審判決が下されました。
グーグルはブログのための「Blogger」というプラットフォームを用意しており、これを使って世界中の誰もがブログを作ることができます。そこではグーグルは「濫用レポート」というシステムを作っており、ユーザーは濫用があると思えば、まず最初のスクリーンで「濫用」の根拠を選びます。もし「名誉棄損」を濫用の理由に選んだとすると(これが本件裁判のケースでした)、次に2番目のスクリーンが表れて、「本サービスは米国法に基づき提供されており名誉棄損の対象は、裁判所によって名誉棄損と判断されたときにのみ削除されます」との告知が表れます。この方針の根拠は米国法であり、グーグルはブログのプラットフォームの第三者のコンテンツに対して「Publisher(公表者)」ではないとされるからです。クレームのある者は対象の著作者に対して直接に名誉棄損を主張しなければならず、米国法はブログサービスのような第三者のサービス提供者を相手方とすることはできないとしているのです。
本件の原告は、あるブロガーがムスリムを侮辱するような表現を用いた記述を削除するようにとの苦情をグーグルに送りました。それは、問題の記述がアップされた2か月後に届きました。そして約1か月後にグーグルは、その苦情を、上記の基本方針とは少し異なったやり方で、「コメントを削除するように」との要求書とともに送りました。そして3日後に当事者がブログを削除しました。
第一審の裁判所では管轄がないという理由で原告の訴えを却下しましたが、その控訴審は、管轄を認め、次のように判断しました。原告の苦情がグーグルに届くまでの間は、グーグルは「Publisher」ではないが、苦情がグーグルに届いたのちは、違う考慮が必要であり、本件ではグーグルは受動的な立場であるが「Publisher」とみる余地がある。ただし、本件では苦情の通知から削除までの期間が非常に短いので、その間の原告の損害は取るに足りないとして、結論としてはグーグルへの請求を認めませんでした。
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