GoProはスカイダイビング中の撮影など特殊な状況下での写真撮影用のカメラメーカーですが、ネット上の製品比較のレビュー記事を嫌う企業です。GoPro製品に対する評価の記事がアップされるとして、インターネットのプロバイダーに対して削除要求を行うのです。合衆国のデジタルミレニアム著作権法(DMCA)は、1988年に成立し2000年に施行された連邦法ですが、米国著作権法の一部を改正する法律でWIPO著作権条約やWIPO実演・レコード条約を締結したことにより米国著作権法を同条約に整合させるために制定されました。米国では著作権侵害について無過失責任主義を採用しています。そのためインターネットサービスのプロバイダーは、著作権侵害違反の追及に対して「故意・過失がなかった」ということを主張しても責任を回避できません。したがって、原則としてプロバイダーには当該事実の調査・削除義務が生じることになります。ただし、それではあまりに過重な義務を課されてしまうので、著作権法違反の可能性のある事態が生じた場合には、一定の要件を備えた著作権侵害の通知を受けたプロバイダーは、詳しい調査や発信者に対して確認を取る前にコンテンツを迅速に削除・遮断しても罪に問われないというNotice-and-Takedownという回避策が規定されていて、プロバイダーにとって対処しやすくしています。GoPro社はDigitalRevというデジタル機器の評価ブログで自社の機器が評価対象となると、このDMCA-Takedownの通知を素早く送ります。その通知は商標権侵害の主張です。しかし、これではいかなる製品比較記事も公表することは許されなくなってしまいます。しかし上記のブログの運営プロバイダーであるSoftlawyerはGoPro社の通知が来るとすぐに対象記事を削除してしました。このような神経過剰ともいえるDMCA-Noticeを取締まる法律はありません。もっとも知られている訴訟になったケースはダンシングベイビーの事件で何年間も訴訟がおこなわれましたが損害は認定されていません。
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