ニューヨーク連邦地方裁判所は、APおよびニューヨークタイムズがMeltwater社(ノルウェイ本社のニュースクリッピングサービスの会社)を著作権法違反で訴えていた裁判でAPら原告の請求を認める判断を下しました。Meltwater社は顧客からの依頼に基づき、インターネット上のAP社など配信のニュース記事を使用料を支払わずにスクラップ化していましたが、この行為はフェアユース(公正な利用)とはならないと判示しました。同社の顧客には会社や政府などがあり年間数千ドルを支払って、ニュースの通知を受け、同社のデータベースを検索することができるサービスを受けていました。同社は顧客に対してニュースレター形式のニュース通知を送り、そこにはAP社や他のニュースソースの記事を含んでいました。同社のレポートには見出し、記事の最初の部分と記事に最初にキーワードが出現する部分の文章を含んでいました。判例ではフェアユースに該当するかどうかは4段階のテスト、すなわち、@使用の目的と性格、A著作物の性質、B使用された箇所の量と重要性、C使用によって潜在的市場に与える効果 の4つの要素を吟味して判断しますが、裁判所は@の目的に関して「被告が当該著作物をその本来の目的とは関係のない、もしくは新たな目的のために用いているか」という検討を加えます。有名な先例としては、「プリティウーマンのラップソング事件」や「グーグル・ディスプレイの親指サイズ写真事件」などで、これらの事件ではフェアユースが認められました。しかし、本件では、この点で、被告Meltwater社の主張した「当社の行為はサーチエンジンと同一に過ぎない」との主張を却下し、逆に同社の行為はAP社の競争相手となるようなビジネスであると認定しました。すなわち、同社の行為はAP社から正当にライセンスを受けてニュース記事配信を行っている会社の代替となる活動であると判示しました。
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