中国の電気事業の特徴として、農村地域の分散的に作られた送配電系統(農電と呼ばれる)があげられます。電力は中国では常に供給不足および送配電網不足が基調にあり、人民公社などによる地方の自力更生が存在してきました。これを改善強化すること、広域電力網との統合が重要な改革テーマでした(農電改革と呼ばれる)。1998年、国家発展計画委員会はネットワークの統合と価格統一を目標とする通知を出しています。日本と大きく異なるのは電力会社が極めて多数(万単位)存在することです。すべての県は県単位の発電所と送配電網を持っていますし、郷鎮のレベルでも自己投資、自己管理の電力系統があるのです。
一方、2002年、国務院は「2002年電力体制改革方案」を発表し、所有権の多様化を寡占的大企業により統合し、かつ市場競争原理を取り入れていくこと(競価上網という価格競争などです)を目標として明らかにしました。電力改革に内容として廠網分開と呼ばれる発電・送配電の分離も含んでいます。現在、五大発電会社は、華能、大唐、華電、国電、電力投資の五つであり、2大送配電会社とは、国家電網と中国南方電網です。
ところが2006年3月に全人代で採択された第11次5カ年計画では電力改革についてなぜか触れられていません。農村電網については完善すると書かれているのみでした。
2007年4月に「11次5カ年計画期における電力体制改革の深化に関する実施意見」がかなり調整に時間をかけた末に公表されました。ここでは発電・送配電の分離が進んでいることを評価するとともに、送配電部門にピーク時調整用の水力発電所を分離していく予定が述べられています。価格競争メカニズムについては達成されていないことを認めつつなお市場メカニズムを導入することを明確にしています。注目すべきは地域電力市場の開設で発電企業が直接大口ユーザーに売電することを可能にしようとしています。この場合広域電力系統は中抜きとされることになります。さらに「実施意見」では県級供電企業(送配電企業)の所有権を明確化し電力の売買の主体企業としていくことも掲げています。もともと県級、郷鎮の電力企業は集団所有制であったためですから、これが企業化する過程で、出資者が誰でどういう割合で出資しているのかが必ずしも明らかでないという問題が存在します。
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