問 商務部は裁定において、コカコーラ社は炭酸飲料市場におけるみずからの支配的な地位を果汁飲料市場に伝えられると判断している。コカコーラ社は炭酸飲料市場において支配的な地位にあるのか?前述したような「伝えること」はどのように実現するのか?もう一歩進んだ説明をお願いします。
答 中国飲料工業協会のデータによると、コカコーラ社は全国の炭酸飲料市場シェアの60.60%を占める。同時に、コカコーラ社が資金、ブランド、管理、販売の各方面での競争上の優勢に鑑み、それらの内容を真摯に確認して評価した結果、商務部は、コカコーラ社は炭酸飲料市場で支配的な地位を占めていると判断した。
炭酸飲料と果汁飲料との間では代替性が低いが、同じソフト飲料に属し、互いに緊密に隣接する市場である。今回のM&Aが成功すれば、コカコーラ社は炭酸飲料における支配的な地域に加えて果汁飲料市場における競争上の優勢と影響力を強めることになり、強者同士の連合になる。自らの利益の最大化を追求するため、コカコーラ社は合併後に炭酸飲料市場の支配的な地位を利用し、果汁飲料と炭酸飲料とを抱き合わせ販売したり、セットで販売したりまたは排他的な取引条件を付加したりして、みずからの炭酸飲料市場における支配的な地位を果汁飲料市場に「伝える」ことが可能である。それは他の果汁飲料メーカーの競争力をひどく弱め或いは剥奪し、果汁飲料市場の市場競争を害し、最終的には消費者がより高い価額で、より少ない種類の商品を買うことを余儀なくさせることになる。
問 どのような状況下で、制限条件付きで集中を許可するのか? 審査決定を下す前に、商務部はなぜコカコーラ社と制限条件付きの会談を行ったのか?何回の会談を行ったのか?会談の結果はどうだったのか?
答 事業者集中が市場競争に与える影響は非常に複雑である。ある状況下では集中は運営コストを減らし、経済効率を高めるなどの有利な影響を与える。また、特定の市場競争に一定程度、不利な影響を与える可能性もある。したがって、有利な影響を保つと同時に競争を排除・制限するような不利な影響を排除するために、独占禁止法第29条に基づき、申告側の承諾を経て、商務部は集中の競争への悪影響を減らすための制限条件を付けることができる。
不利な影響を生じる集中に制限条件を付するのは、国際的に独占禁止法執行の通常のやりかたである。制限条件の付加により、商務部が決定を下す前に申告側に独占禁止法の審査中に発見された問題を提示し、申告側に問題の解決案を提示するように求め、取引から生じる不利な影響を解消すると同時に、取引の有利な影響を維持できる。競争の排除・制限効果を解消するための解決案について、商務部はコカコーラ社と何回も会談を行った。会談において、商務部はコカコーラ社に今回のM&Aから生じる様々な競争上の問題を明確に提示し、期限内に解決案の提出を命じた。三月の初めにコカコーラ社は商務部に初歩の解決意見を提出した。評価の結果、商務部は、その案が競争問題を解決できていないと判断し、コカコーラ社に当該案の修正を求めた。その後、商務部とコカコーラ社はより進んだ会談を行い、コカコーラ社は最終案を提示した。再び評価した結果、商務部は、一部の問題の救済案について修正を行ったが、今回のM&Aから生じる不利な影響を解消するには足りないと判断した。
集中に参加した事業者は、集中が競争に生じる有利な影響が明らかに不利な影響より大きいあるいは公共利益に符合することを十分な証拠を提示して証明しておらず、かつ、規定の期間内に、コカコーラ社が競争に不利な影響を解消できる解決案を提示していないため、今回の事業者集中の禁止を決定した。また、説明しておかなければならないのは、商務部が外部に情報を開示する際に、独占禁止法の秘密保持要求を遵守しなければならないことである。
問 商務部は裁決公告において、ブランドの市場競争への影響に言及している。今回の禁止決定は、民族ブランドを保護するためですか?
答 果汁飲料は食品、ファーストフードであり、直接、消費者と接する。このような製品に対し、ブランドは重要な意味をもつ。ブランドは製品の品質・価額、消費者に信頼されるかどうかなど一連の要素を意味する。消費者の現在のブランドに対する忠実度を考えると、新しいブランドが小売業者に受容され、供給者を変更させることは極めて困難である。したがって、ブランドは飲料市場参入の主要なハードルである。コカコーラ社は大量に投資し製品の良好なイメージを維持し、消費者の忠実さを養成した良い例である。
今回の取引が成功すれば、本件の公告で述べた通り、コカコーラ社は「美汁源」と「?源」の2つのもっとも影響力ある果汁ブランドを独占することになる。ブランドという競争に影響する一番重要な要素をコントロールすることを通じて、コカコーラ社は中国果汁飲料市場への影響力を著しく強めて、炭酸飲料市場の既存の支配的な地位およびその「伝える」効果を加えて、集中は潜在的な競争者が果汁飲料市場へ参入することを著しく困難にさせる。
現存ブランドが市場参入を妨害するため、潜在競争者が市場に参入し、コカコーラ社と実質的に競争し、コカコーラ社の行いうる権利濫用行為を取除き又は制限することは事実上難しい。市場参入の問題は独占禁止審査において答えなければならない問題であって、真摯な競争問題である。これは貴方方が言われたいわゆる民族ブランド問題とは完全に別の事柄である。ゆえに、?源が民族ブランドかどうかを独占禁止法の審査において考慮すべき問題ではないし、商務部の今回のM&A禁止決定とは関係ない。
問 禁止決定は中国の外資投資政策に変化が生じることを意味する?中国は投資保護主義を実施するのか?
答 対外開放はわが国の基本政策である。経済のグロ−バル化の背景の下で、国際貿易と投資活動は日々頻繁になり、国と国の間で経済貿易関係が日々強まってきた。経済のより質が高い、速度が速い発展のため、我々は外商の投資を歓迎し、中国国内で競争に参加することを奨励する。
近年、わが国のWTOの批准に伴い、わが国の市場開放程度がより高くなり、外資のわが国市場への参入基準が著しく低くなり、たくさんの多国籍企業がわが国に入ってきて、伝統的な「緑地投資」(Green
field
Investment)以外に、国内の企業を合併するのもよく見られる方法になっている。2003年「外国投資者が国内企業と合併する暫定規定」が公布されて以来、商務部は4966件のM&A案件を許可した。
言うまでもなく、多国籍企業が国内企業を合併するのは、我々に資金・技術・管理経験をもたらし、国民経済発展に有利な働きをした。しかし、合併が多国籍企業をある市場において、支配的な地位を取得し或いは強化し、競争を排除または制限する効果をもたらすなら、国民経済の発展を妨害するであろう。独占禁止法、とくにその中の事業者集中コントロール制度の目的は、事業者を公平に競争し、自らの意思で合併し、経営規模を拡張し、市場競争力を高めると同時に、集中から生じる不利な影響を有効に解消することである。また、独占禁止法は国内国外の企業の独占行為に対し、同様に適用し、もっぱら多国籍企業だけに適用することはない。
商務部が独占禁止法に基づきコカコーラ社の?源に対するM&Aを禁止したのは、市場競争に対する考慮に基づき、わが国果汁飲料市場の有効的な競争を維持し、果汁企業が公平競争の中で発展することを促進、保障し、果汁飲料市場の優勝劣敗の形成と経済成長方式の変化を促進するためである。それは個別事例であって、わが国の対外開放政策を変えることはない。